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EC プラットフォームを選ぶ前に、比較表より先にやっておくこと

EC プラットフォームを選ぶ前に、比較表より先にやっておくこと

「Shopify に変えたら、今の問題は解決しますか」

リプレイスのご相談では、最初にこう聞かれることがとても多いです。
そして私は毎回、「要件を伺ってみないと分かりません」とお答えしています。

はぐらかしているように聞こえるかもしれません。
でも本当に、プラットフォーム選びに誰にでも当てはまる正解はないんです。
何を優先するかで、ベストな選択肢はあっさり入れ替わります。

私自身、事業者側にいた頃に、大型システムへのリニューアルを担当しました。
今は支援する側で、プラットフォームを選ぶ段階から、発注する会社さんの隣に座っています。
選ぶ側と作る側の両方を見てきて思うのは、選定がこじれる原因の多くが、比較表を作る「前」にあるということです。

なので、比較を始める前に、社内で 2 つの棚卸しをお願いしています。

まず、今困っていることを細かく書き出す

困っていること、解決したいことを、とにかく細かくリストにします。
細かいほど、何を基準に選ぶかがはっきりします。

書き出したら、ひと手間だけ足してください。
それぞれに「絶対に必要」か「できれば」かの印を付けることです。

全部を叶えようとすると、オーダーメイドのスーツを仕立てるつもりで家を一軒建てるような話になり、
費用が想定から大きく外れます。
必須と「できれば」が分かれていれば、候補を絞るときも、見積を比べるときも迷いが減ります。

書き出したものの中には、システムを変えても解決しないものも混ざっているはずです。
運用の体制、商品情報の整備不足、社内の役割分担。
これをシステムの要件として持ち込むと、要件だけ膨らんで、課題はそのまま残ります。

「システムが古くなっている」という課題もよく挙がります。
実感としてはその通りなのですが、このままでは選ぶ基準になりません。
「古いせいで、◯◯ができない」まで書いてみてください。
その「◯◯」が、候補を比べるときの物差しになります。

次に、変えたくないこと・変えられないことを書き出す

困りごとばかり見ていると、今うまくいっていることを落としてしまうことがあります。
リプレイス後に「前はできていたのに」という声が出るのは、たいていこの棚卸しを飛ばしたときです。

お客様への案内の出し方、同梱物の運用、定期購入の細かい動き。
現場では当たり前すぎて誰も要件書に書かないものほど、抜けやすいんです。

外せない制約も一緒に出しておきます。
つながっていないと困る外部システム、経理上のルール。
機能の比較では一番点数が高かった候補が、経理の締め処理と噛み合わずに外れる、ということも起こります。

この 2 つがそろってはじめて、比較表に何を並べるかが決まります。
逆に、ここが無いまま各社の比較表を集めても、どこに重みを置くかが決まらず、並べて終わりになってしまいます。

棚卸しの後に、あわせて見ておきたいところ

ここからは本題の補足です。
社内の棚卸しだけでは出てきにくい観点を挙げておくので、要件の漏れチェックに使ってください。
全部を満たす必要はありません。

SEO まわりでは、ページごとに title や説明文を設定できるか、URL の形を変えられるかを見ておきたいところです。
集客をプラットフォームの機能に頼る以上、後から直せる範囲の広さが、そのまま将来打てる手の数になります。

お役立ち記事のようなページを、担当者が自分で増やせるかも大事です。
構築時には「作れます」で通るのに、実際は 1 本増やすたびにベンダーの見積が出る、という作りのこともあります。
「作れますか」ではなく「誰が作れますか」と聞くと、実態が見えてきます。

決済は、後払いや ID 決済を後から足せるか、決済代行会社を選べるかを確認しておいてください。
決済が実質固定で、手数料を交渉する余地がないプラットフォームもあります。
売上が伸びるほど効いてくる差なので、初期費用だけで比べると後で響きます。

地味ですが、国内の商習慣への対応も見ておきたいところです。
納品書、のし、配送日時の指定の細かさ。海外発のプラットフォームでは差が出やすく、
ここに穴があると個別のカスタマイズがどんどん積み上がります。

保守を誰が持つかも、金額の比較に直結します。
セキュリティ更新をプラットフォーム側が持つのか、自社で持つのか。
自社で持つなら、その体制と保守費用まで含めて比べないと、そもそも比較になりません。

将来、法人向けや卸の展開を考えているなら、選定の時点で伝えておいてください。
後から足す前提にすると、高くつくことが多いです。

商材ならではの固有の要件(法令上の対応、専用の会員機能など)がある場合は、上の観点と同じ表に混ぜず、別枠で扱うのがおすすめです。
同じ表で点数を付けると、その 1 項目だけで結論が決まってしまい、他の比較が意味を失います。

よく見かけるつまずき

ひとつは、実際のデータを見る前に結論を出してしまうことです。
アクセス解析、管理画面、今あるコンテンツの量。これを見ないうちに「このプラットフォームが最適です」と言い切るベンダーは、
御社の要件ではなく、自社が得意な構成に寄せている可能性があります。
「何を見てそう判断されましたか」と一度聞いてみてください。それだけで地力はかなり分かります。

もうひとつは、全部を一度に作り直そうとすることです。
すでに集客の資産になっているサイトの見た目側は残して、課題の大きい部分だけを入れ替える。
そのほうが現実的なケースも少なくありません。
「全部作り直しましょう」と提案されたら、なぜ残すのでは駄目なのかを説明してもらってください。

比較表を作る前に、今週やってほしいこと

いきなり完璧な要件書を作る必要はありません。
耳の痛い話ですが、要件が無いまま「いい感じにしてください」とベンダーに渡すのは、発注する側の仕事を手放しているのと同じです。
逆に言えば、ここさえ押さえれば、比較の半分は終わっています。

まずは、関係する方に 30 分ずつ時間をもらって、「困っていること」と「変えたくないこと」を聞いてみてください。
それを 2 枚のリストにするだけで、ベンダーとの打ち合わせの質がかなり変わります。

そのうえで、同じ要件を複数のベンダーに渡して見積を取る。
要件書がないまま相談すると、各社が自分の得意な形に要件を寄せて提案してくるので、比べられない見積が並んでしまいます。

比べられる状態を作るところまでが、選定の一番大事な仕事だと私は考えています。
もし「棚卸しはしてみたけれど、これで足りているのか分からない」ということであれば、一度お話を聞かせてください。
私は特定のプラットフォームの代理店ではないので、発注する側の立場で、要件の整理から提案の見比べまでお手伝いできます。

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